家づくりの打ち合わせは、何を決める時間でしょうか。秋田で建築家と建てる家、暮らしの話から始める理由
こんにちは。あしたのいえの船尾です。
10月も終わりに近づきました。この時期になると、来年の春や夏の入居を目指す方からのご相談が増えてきます。土地はまだ決まっていない方、ご実家の建て替えを考えている方、資料だけ取り寄せてみた方。入り口はそれぞれですが、どの方も最初に通るのが打ち合わせの席です。
その席で、意外に多くいただく質問があります。「打ち合わせって、何を決めるんですか」というものです。もっと言えば、「何を準備していけばいいのか分からない」というご不安です。間取りの希望を箇条書きにして持ってきてくださる方もいらっしゃいます。ありがたいことですが、正直に申し上げると、私たちは最初にその紙を広げません。
今日は、家づくりの打ち合わせで私たちが何を話しているのか、そしてなぜ間取りではなく暮らしの話から始めるのかをお伝えしたいと思います。準備は、思っているより少なくて済みます。
この記事のポイント
- 打ち合わせは間取りを決める会議ではなく、暮らし方を言葉にする時間です
- 最初に図面をお出ししないのは、図面が議題になると足すか引くかの話に変わってしまうためです
- ご要望は全部お出しください。削る相談は、全部そろってから始めるほうが速く済みます
- 秋田市の平年値では11月の日照は83.2時間、雷の日数は5.6日で年間最多。外の工事は進みにくい時期です
打ち合わせは、間取りを決める時間でしょうか
多くの方が、打ち合わせを「間取りを決める会議」だと思っていらっしゃいます。部屋がいくつで、広さがどれくらいで、水まわりがどこに来るか。たしかにそれは決めなければならないことです。ただ、それは打ち合わせの出口のほうにあるものです。
間取りというのは、暮らし方を図に翻訳したものです。翻訳する前の原文がはっきりしないまま図を描くと、どこかで必ず無理が出ます。朝の支度が重なる家なのか、夜に人が集まる家なのか。それが分からないまま廊下の幅を決めても、その幅が正しいかどうかを判断する基準がありません。
ですから最初の数回は、図面をお出ししません。代わりに、今のお住まいで困っていることと、気に入っていることを伺います。困っていることより、気に入っていることのほうが大事です。それは次の家でも残したいものだからです。
この話を省くと、打ち合わせは「どちらが安いか」「どちらが広いか」の比較に寄っていきます。比較は必要ですが、比較だけで決めた家は、住み始めてから理由を思い出せなくなります。なぜこの位置に窓があるのか、なぜこの動線にしたのか。その理由をご家族が自分の言葉で説明できる家が、長く気に入っていただける家だと思っています。
なぜ、最初に図面をお出ししないのでしょうか
私たちは建築家と建てる家を本筋にしています。公式サイトのコンセプトにも、「家づくりに正解はありません」「建築家とともに対話を重ねながら」と書いています。これは言葉の飾りではなく、進め方そのものの説明です。
正解がないということは、答えを先に出せないということです。最初に図面を出してしまうと、その図面が議題になります。議題になった図面は、足すか引くかの話に変わります。本当は「この家族はどこで時間を過ごすのか」を決めるべき場面で、部屋をひとつ増やすかどうかの話に置き換わってしまう。
もうひとつ理由があります。先に図面を見せられると、人は自分の暮らしをその図に合わせて説明し始めます。「ここが洗面だから、洗濯はここで」と。順番が逆です。洗濯をどこで、誰が、いつするのかが決まってから、洗面の位置が決まるべきです。
コンセプトには「住まう人によって、心地よい暮らしの形は異なります」という一文もあります。異なるものを先に揃えてしまわないために、対話を先に置いています。遠回りに見えますが、やり直しが少ないのはこちらです。
ご要望は、どこまでお伝えしていいものでしょうか
遠慮される方がとても多いところです。「全部言ったら高くなりますよね」「素人の意見で恐縮ですが」と前置きをされます。ここは、遠慮なさらないでくださいと申し上げています。言われていないご要望は、こちらから見つけることができません。
予算に合わないご要望が出てくるのは当たり前のことです。むしろ全部出していただいたほうが、どれを残すべきかの判断ができます。削る相談は、全部そろってから始めるほうが速いのです。先に自分で削ってしまうと、あとで「本当はあれが一番欲しかった」が出てきます。
そのうえで、順位をつけていただきます。これは私たちが決めることではありません。ご家族のなかで何が一番かは、ご家族しか知らないからです。私たちがするのは、その順位に無理がないかを構造や法規、工程の側から申し上げることです。耐震等級3を標準にしていることも、ここで関わってきます。
ときどき「社長はどれがいいと思いますか」と聞かれます。お答えはしますが、それは私の暮らしの話です。参考程度に聞いていただいて、最後はご家族の順位で決めてください。そのほうが、住み始めてから納得が続きます。
秋田の11月から、打ち合わせはどう進みますか
季節の話も、打ち合わせの進み方に関わります。気象庁が公表している秋田(秋田市)の平年値(1991〜2020年)を見ると、11月の日照時間は83.2時間です。10月の143.1時間から大きく落ち、12月の45.3時間へ向かっていきます(2026年10月26日に公式サイトで確認)。
もうひとつ、11月に目立つ数字があります。雷の日数が11月に5.6日あり、これが1年のなかで最も多い月です(年間34.3日)。日本海側らしい数字で、冬に向かう時期の空模様がよく表れています。雨の量も11月は189.1mmで、7月に次いで多い月です。
何が言いたいかというと、11月から先は外まわりの工事が進みにくいということです。外部足場を使う工事や外構は天気に左右されます。一方で、屋根と外壁が閉じたあとの内部工事は冬でも進みます。つまりこの時期は、現場が内に入り、打ち合わせの密度が上がる季節です。
ですから今から打ち合わせを始める方には、春までを対話の期間として使っていただくのがちょうどよいと申し上げています。雪解けを待つ工事があるぶん、決めるための時間はむしろ取りやすい。急かされずに考えられる時期です。
打ち合わせの前に、決めておくとよいことはありますか
ひとつだけお願いしたいことがあります。いつ入居したいかを、ご家族で話しておいていただきたいのです。年度の切り替わりに合わせたいのか、お子さんの進学に合わせたいのか、今のお住まいの契約に区切りがあるのか。これが決まると、ほかの判断がずいぶん楽になります。
間取りや仕様は、打ち合わせのなかで一緒に育てていけます。けれど時間軸だけは、ご家族の都合が起点です。ここが決まらないまま進むと、工程の話がいつまでも仮のままになり、結局どこかで慌てることになります。家づくりのスケジュールについては以前の記事で詳しくお伝えしました。
制度の話も事実としてお伝えしておきます。みらいエコ住宅2026事業では、注文住宅の新築について交付申請の予約が遅くとも2026年11月16日まで、交付申請が遅くとも2026年12月31日までと示されています(いずれも予算上限に達した場合は当該時点まで/2026年10月26日に確認)。住宅の区分によって期限は異なり、すでに受付を終えている区分もあります。【フラット35】の金利は2026年10月資金受取分で年3.830%でした(3週続けて同じ値です)。
ただ、この順番は崩さないほうがよいと思っています。まずご自身の入居したい時期を決めて、そのうえで使える制度があれば使う。期限に合わせて急いだ結果、打ち合わせが足りないまま着工するよりは、そのほうがよい家になります。
打ち合わせの空気は、完成した家で分かるものでしょうか
ここまで対話の話を続けてきましたが、言葉だけでは伝わりにくいところがあります。「対話を重ねて設計します」と書かれていても、それがどういう家になるのかは想像しにくいものです。立って、歩いて、天井を見上げて、はじめて分かります。
その入り口として、私たちの分譲住宅をご覧いただくことがあります。注文住宅の会社がつくる分譲住宅ですので、注文住宅と同じ設計の考え方、同じ標準仕様でつくっています。完成した家に入って、窓の取り方や動線の収まりを実際に確かめていただけます。
施工事例やお客様の声も公開していますので、どんな間取りでどのように暮らしていらっしゃるかは、そちらでもご覧いただけます。ただ、紙や画面で見るのと、立って見るのとでは受け取るものが違います。
完成した家をご覧いただくのは、あくまで体感のための入り口です。そこで「自分ならここをこうしたい」が出てくれば、それがもう打ち合わせの始まりです。やはり注文住宅のご相談になります。ご覧いただいたあとに図面の前に座っていただくと、話が早い。
まとめ:打ち合わせは、暮らしを言葉にする時間
打ち合わせの話をしてきましたが、お伝えしたかったのは準備の量ではありません。間取りの希望を整えてから来なければならない、ということはないのです。今の暮らしで困っていることと、気に入っていることを思い出していただければ、それで十分です。
秋田の11月は日照が83.2時間まで落ち、雷の日数が年間で最も多い月になります。外まわりの工事は進みにくくなりますが、そのぶん決めるための時間は取りやすい。急かされずに対話を重ねられる季節です。
準備していただきたいのは、いつ入居したいかというひとつだけです。そこが決まれば、あとは一緒に育てていけます。制度や金利の話も、その順番のあとに置けば判断を誤りません。
そしてもうひとつ。打ち合わせは、こちらが説明する時間ではありません。ご家族が話し、私たちが聞く時間が長いほど、あとの図面が速く固まります。黙って聞いていただくより、思いついた順に話していただくほうが助かります。
まだ土地が決まっていない段階でも、打ち合わせを始める前のご相談でもかまいません。秋田市・潟上市・能代市で家づくりをお考えの方は、どうぞお気軽にお声がけください。
あわせて読みたい
- 不動産会社の私が、なぜ「建築家と建てる家」を選んだのか……対話を本筋に置いている理由の話
- 家づくりのスケジュール。秋田で建築家と建てる家はいつから動けばよいか……入居したい時期から逆算する工程の話
- 暖房は、間取りが決まってから考えるものでしょうか……暖房機器と間取りを一緒に決める話
- 冬の道具は、どこにしまっていますか。収納を「広さ」ではなく「置き場所」で考える……置き場所の側から間取りを考える話
あしたのいえ(秋田セントラル不動産株式会社)について
秋田市保戸野を拠点に、不動産の売買・仲介から注文住宅、分譲住宅、中古リノベーション、リフォームまでを手がけています。注文住宅ブランド「あしたのいえ」では、建築家と対話を重ねながら、ご家族ごとに違う暮らしの形を住まいにしていきます。「家は、あしたのしあわせをつくる場所」という考え方を軸にしています。対応エリアは秋田市を中心に潟上市・能代市などです。
私たちの4つの強み
- 建築家と建てる家……対話から始め、ご家族の暮らしに合わせて設計します
- 長く安心して住める備え……耐震等級3を標準とし、高耐震・高断熱パネルと長期優良住宅の考え方を土台にしています
- 住まわれた方の声……完成したあとの暮らし方を、実際にお住まいの方の言葉で公開しています
- 引き渡したあとのお付き合い……アプリ「マイホム」でチャットでもご相談いただけます
まずは暮らしの話から、ご相談ください
間取りの希望が決まっていない段階でも、土地をお探しの途中でもかまいません。
秋田市・潟上市・能代市で家づくりをお考えの方は、どうぞお気軽にご相談ください。
よくいただくご質問
Q. 打ち合わせには、何を準備していけばよいでしょうか。
A. 特別な準備は要りません。今のお住まいで困っていることと、気に入っていることを思い出してきていただければ十分です。間取りの希望を整えてくる必要はありません。ひとつだけ、いつ入居したいかをご家族で話しておいていただけると、そのあとの判断がずいぶん楽になります。
Q. なぜ最初に間取りの図面を見せてもらえないのでしょうか。
A. 間取りは暮らし方を図に翻訳したものなので、翻訳する前の原文がはっきりしないまま描くと必ず無理が出ます。また先に図面を見ると、ご自身の暮らしをその図に合わせて説明してしまいがちです。遠回りに見えますが、対話を先に置いたほうがやり直しが少なく済みます。
Q. 要望を全部伝えると、予算が合わなくなりませんか。
A. 予算に合わないご要望が出てくるのは当たり前のことです。全部出していただいたほうが、どれを残すべきかの判断ができます。先にご自身で削ってしまうと、あとから一番欲しかったものが出てくることがあります。順位はご家族で決めていただき、私たちはその順位に無理がないかを構造や工程の側から申し上げます。
Q. 打ち合わせを始めるのは、冬より春を待ったほうがよいでしょうか。
A. 秋から冬にかけて始めていただくのがむしろ好都合です。秋田の11月以降は外まわりの工事が天気に左右されますが、屋根と外壁が閉じたあとの内部工事は冬でも進みます。雪解けを待つ工事があるぶん、決めるための時間は取りやすい時期です。春の着工に向けて、冬のあいだに決めごとを済ませておける利点もあります。
Q. 打ち合わせの進め方は、完成した家を見れば分かりますか。
A. ある程度は分かります。私たちの分譲住宅は注文住宅の会社がつくる分譲住宅で、注文住宅と同じ設計の考え方、同じ標準仕様でつくっています。立って歩いて確かめていただくと、言葉では伝わりにくいところが伝わります。そこで出てきたご希望が、注文住宅のご相談の入り口になります。
参考にした公的情報
- 気象庁「秋田 年・月ごとの平年値(1991〜2020年)」(2026年10月26日確認)
- みらいエコ住宅2026事業「注文住宅の新築の交付申請(予約を含む)の受付を開始しました。」(2026年10月26日確認)
- 住宅金融支援機構【フラット35】最新の金利情報(2026年10月26日確認)
※日照時間・雷日数・降水量は気象庁が公表している秋田の平年値(1991〜2020年)です。制度の内容は確認日時点のものです。実際の金利や諸費用はお借入先により異なり、お手続きの期限は必ず各公式サイトで最新の情報をご確認ください。
あしたのいえ 秋田セントラル不動産株式会社 船尾 教司